ワークショップデザインのために読んだ方がいい本~だうに編~

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ワークショップデザインをするうえで、多くの実践をしていくことはとても重要です。一方で、様々なことを知ることでワークショップデザインに深みも出てくるはずです。そこでディレクターが各々ワークショップデザインに役立つと思う本を紹介していきたいと思います。

今回は私、だうにーが三冊の本を紹介します。学習や働くことに関わるものだけでなく、「ワークショップで起こる学びってこういうことなんじゃないのかな?」と僕がイメージしていることを教えてくれる本も選んでみました。この本が皆さんの学びのきっかけになってくれたら嬉しいです。

だうにーがおすすめする3冊

    「被抑圧者の教育学」パウロ・フレイレ

黒人などの抑圧されている人々が主体性を持っていきるためにはどうしたらいいか?ということが背景としてあります。ワークショップデザイン論末尾の参考文献のところでも紹介されている本ですが、課題提起教育という考えを登場させたことでも有名なようです。僕がこの本で特に面白いなと思っている点は、フレイレが提唱している「テーマ生成」と「限界状態」という概念です。限界状態とは自らを限界づけている状態を足かせとして認識することで、この状態に人が立たされた時に問題解決にむけた意思が生まれてくるそうです。また、そこから生まれてくるより主体的で人間らしくなろうとする「問い」をフレイレは「テーマ生成」と呼んでいます。この限界状態は制約と近い概念でもあると思うので、ワークショップデザインにおいても参考になるのではないかと思います。教育系に興味がある人は既存の学校教育を預金型教育として批判している所などは面白いかもしれません。

    「だれのための仕事」鷲田清一

今回のFLEDGEのテーマは「働く」なので働くについて考えを深められるものもひとつ。労働はより効率的により生産的にということを人に求めてきますが、この論理が労働だけでなく余暇などにも拡大しているというところから始まります。これは國分功一朗さんの「暇と退屈の倫理学」と出発点としては同じ切り口です。現代的な問題なのかもしれません。違いとしては、本書の方がより仕事に焦点を当てている点です。國分さんのは生き方という方に論点が向いている印象なので、もし時間があればそちらも読んでみてください。人と仕事の関係を問い直している本なので、ワークショップの新しいきっかけになると思います。

    「物質と記憶」アンリ・ベルクソン

この本の中で人間の活動を「運動」と「記憶」という両極で表しています。記憶は昔の経験を思い出したり、思考をしている状態。運動は目の前の活動に没入して一切の思考がなく身体がただひたすら動いている状態です。人間の生は、この両極のあいだを行ったり来たりしているとベルクソンは言うわけなんですが、この行ったり来たりする状態はワークショップの「創りながら学ぶ」ということを表しているのではないかと僕は思っています。活動に没入することで参加者の経験を呼び起こして、その経験がさらなる没入を促す。こんなサイクルがワークショップでは発生するといいのではないかと思っています。結構厚くて、読みづらいところもありますが、個人的には面白い哲学書なので是非読んでいただけたらと思っています。

おすすめの本たちが作ってくれた私

フレイレの「被抑圧者の教育学」では僕の中の理想的なワークショップ像の輪郭を描いてくれています。そのための方法論のアウトラインをベルクソンが概念的に埋めてくれている感じです。なので、ワークショップで、参加者がただ新しいことを知るだけなのではなく、それが自分自身との経験と接点のある形で学ぶためにはどうしたらいいだろうって考えるようになりました。
今回はそんな風に、僕がデザインする時の指針になった本を中心に選びました。ぜひ皆さんにとっても参考になれば嬉しいです。

だうに