party of the future2016で体感した「非日常性」がワークショップにもたらすちから

,

POFとは?

5/3と5/4、GWど真ん中に二日間かけて行われた、同志社女子大学の上田信行先生と通称girls bandと呼ばれる上田ゼミが主催するイベントparty of the future(POF)に参加してきた。このイベントは、人と人との出会いがあり、playful(プレイフル:物事に対してワクワクドキドキする心の状態)な活動や会話を通して新しいアイデアや考え、思想が生まれる場所としてのパーティを実験的に生み出す試みであり、20年以上まえから毎年開催されている。舞台は奈良県吉野にある吉野ネオミュージアム。この三階建ての建物は、いわゆる吹き抜けのような構造になっていて、上の階から下の階の様子を見降ろすことができるようになっていた。そしてそうした構造には「活動を物理的にいろんな視点を体感できる空間が、既成概念のクラッシュを生み出す」という上田先生のねらいが込められている。

構造1

私にとってはじめてのPOFはオープニングから強烈だった。girls bandのダンスショーから始まって、漫才のようなMCの掛け合いのもと説明がされたと思えば、次には歌が流れだす。上田先生が歌いながら、その場の全員に対して一緒に歌おうと煽る。はじめは恥ずかしそうに口ずさんでいた人も、次第に楽しくなって、声を大きくしていく。その楽しさが隣の人にも伝播し、数十人によるみんなの歌がさらに熱を帯び始める。

――私たちがplayfulになるためのグラマー(文法)を、この二日間で見つけてほしい

上田先生はオープニングのなかで、そんな問いを私たちに投げかけた。私たちが何かを夢中になって取り組むためには何が必要で、どうしたらいいのか、と。人が何かにワクワクドキドキする文法をこの二日間で見つけてみろ、と。それが上田先生から与えられた唯一の課題だった。

POF nowhere man

「非日常的な場」が生み出す人と人との関係性

二日間行われるPOFのうち、初日はイヴ(準備日)とされていて、翌日のPOF本番に行うワークショップを4つの班に分かれそれぞれ企画する。しかしそうした企画づくり以外にも、girls bandによるplayfulなイベントが随所に仕掛けられていた。オープニングを済ませたのち向かった宿泊先の宿においても、夕食の最中にいきなりダンスショーがはじまったり、給仕してくれた女将さんたちにサプライズで数十名の参加者全員いっせいにお礼を言ったり。夕食後のセッションでは、girls bandの煽りのもとみんなでEXILEの「ki・mi・ni・mu・chu(君に夢中)」を全員で踊った。なぜ踊るのかはよくわからなかったし、当然恥ずかしかった。だけど何度も何度も繰り返すうちに、うまく踊れるようになっていく。周りも着実にうまくなっていく。それが如実にわかる楽しさや、名前も顔も知らない数十名が音楽のもとで一体になっていくカタルシスがそこには確かにあった。隣で自分と同じ踊りを繰り返し踊る他人。その光景は明らかに異常で、思わずその人と「なんだろうね、これ?」と半笑いで目配せをしあうのだけど、その目配せは私とその人のあいだに新しいつながりが生まれた証でもあった。
踊りのワーク(?) の後には、班ごとに対抗戦型のワークショップが行われた。そうした協同一致の活動を経て、私たちはもはやその場にいる誰一人を知らない人だと思えず、すっかり「仲間」という感覚でお互いを認識していたことを今でもよく覚えている。

翌日、POF本番を迎えた。さらに参加者が増えた。正確な人数はわからないが、おそらく100人は超えていたのではないだろうか。それでも私たちが昨夜感じた仲間意識は一夜明けても少しも衰えることはなかったし、むしろ本番を迎えるにあたって、「このイベント、絶対に成功させたるで!」と、参加者というより企画者側に近い心持ちで臨んでいたようにすら思う。昨日から来ていた数十名がものすごい熱度の高い状態でワークショップに取り組んでいく。本番当日から参加している人たちも、その様子を見て、私たちの熱に当てられ巻き込まれるように、自然とワークに取り組み始める。縁日のお祭りのように、何もせずともただその場にいるだけで楽しくなってくる雰囲気が出来上がっている。より多くの人が同化していく。仲間意識の輪がさらに大きくなっていく。非日常的な場が関係性をつくり、その関係性がさらに多くの人を巻き込んでいく空気感をつくりだしている。

さらに、一人ひとりのモチベーションが高いため、ワークショップのなかでつくられる作品の完成度も異様に高く、また企画者の想定を超えたアウトプットが出てくることがざらに起こる。その事象がより顕著だったのは、「ファッション」をテーマとしたチームがつくったワークショップだった。ワークの内容は、「与えられたお題に合わせた服を制作する」というものであり、私がいたグループには「せっかくのデートの日が雨だった女の子」というお題が与えられ、雨の日のデートが楽しくなるような服をつくることとなった。企画チームの人の話では、企画当初は服だけ作ってもらえることを想定していたという。しかし実際始まってみると、制作に夢中になるあまり、「これかわいくない?!」とどこからかティッシュで作った大きなリボンが出てきた。長靴も作った。傘も作った。普段のテンションじゃ絶対にできなかったであろう、会心のコーデがそこには出来上がっていた。

POF WS1

POF WS2

POF WS3

POF WS4

非日常性のちから

「全力で取り組む」というのは、案外難しい。なりふり構わず全力で何かやっているところを誰かにみられるのは気恥ずかしく、つい躊躇してしまいがちだ。少なくとも普段の日常ではそうだろう。しかしPOFではそれが許される。上田先生やgirls bandが、「ここはイベントで、つまり特別な場で、普段の日常とは違うから、全力で取り組んでもいいんだよ」と、背中を押してくれる。内心、躊躇いもあれば葛藤もあるけれど、そのあと押しでとにかくやってみようという気になるし、やってみたらいいものができあがる。

――私たちがplayfulになるためのグラマー(文法)を、この二日間で見つけてほしい

上田先生がオープニングで私たちに与えたこの課題に、今の私ならば、「非日常性をいかにつくるか」と答えるだろう。みんな一緒になって全力で歌う、踊る、服を作る――そうした数多くの非日常的体験を共有することで、全くの他人同士だった数十人に仲間意識が芽生えていく。その仲間意識が、企画者と参加者という垣根を少しずつあいまいにしていく。仲間が企画したものだから、と、あの場にいた全員がワークショップの成功を願っていたし、協力し合っていた。結果としてかなりクオリティの高いワークショップに仕上がっていた。私にとってはじめてのPOFは、ワークショップにおける「非日常性」のちからをまざまざと思い知った二日間であり、非常に刺激的で、素敵な二日間だった。

おまけ

文中では紹介しきれなかったのだが、POFではgirls bandによるクオリティの高い場づくりも、非日常的な演出として非常に大きな役割を果たしていた。最後におまけとして、ほんの一例ながら写真で紹介していけたらと思う。

▼ガラス窓に書かれた手書きPOP。お洒落。
playful

 

 

 

 

 

 

▼圧倒的レゴ力の高さ…!
pof rego1

 

 

 

 

 

 

▼レゴとお菓子のコラボレーション!
POF rego2

 

 

 

 

 

 

▼ネオミュージアムの一角にある茶室。めちゃくちゃ凝ってる。
POF 和室

 

 

 

 

 

 

※参考文献
プレイフル・シンキング 仕事を楽しくする思考法/著・上田信行