こんにちは、ディレクターのだうにーです。 今回はワークショップにおける「面白い」ってなんだろう、ということを書いていきたいと思います。
皆さんはこれまでいくつかのワークショップに参加してきたことがあるかもしれません。自分がディレクションしているチームの子から「ワークショップにおける面白いってなんすか!!!」とか聞かれたりして、せっかくの機会なので書いていこうと思います。
まぁ、なんていうか、思ったはいいんだけど、ハードルくそ高いなぁって思ってしまっていたりします。若干怖いですが、頑張ります。 今回参照するのは安斎さんの『ワークショップによる課題解決:既存の認識を揺さぶり、新たな認識をつくりだす』というブログ記事です。
安斎さんの「ワークショップとは?」
まず、安斎さんのブログ記事で定義されている「ワークショップとは?」を確認してみます。安斎さんはワークショップが学びの場であると同時に、社会的な課題解決(商品開発・デザイン・まちづくり・調査など)のアプローチとしても有効であるとしたうえで、
ワークショップとは「既存の認識に揺さぶりを与え、新たな認識をつくりだすための創造的な学習活動」
としています。 ここには、「今まで知らなかった何かを知る」とか「素晴らしいメッセージを送る」とかそういった類は読み取れません。
それでは翻って、学習目標を考えるときに皆さんが「参加者になにを学んでもらうか?」ということを考えているところを想像してみてください。もしその時に、今まで参加者が「持っていないもの(知識など)」を提供するという意味合いがそこに潜んでいるとしたら、この定義からは少し外れているのかもしれません。
それよりも、ここでは、普段はりんごを食べ物として見ているけれど、燃料(電源)として見てみるといった視点の転換を指していると思います。
実際、
ここでいう既存の認識とは、「当たり前だと思っていること」であったり「いつも使っているやり方」であったり、「自分自身」あるいは「周囲の他者との関わり方」であったりすると思います。
という風に説明しています。この「当たり前」や「いつも」からどれだけ離れることができるのか、それがワークショップにおける面白さに繋がっているはずです。
ワークショップの面白いって?
それを踏まえて面白いとはなんであるか?ということを考えてみたいと思います。ワークショップにおける面白さは、それまでの認識を程度の変化ではなく、質的な変化を引き起こすことです!!(断定形を使っているのがすごく怖い!!!)
先ほどのりんごをもう一度例にとってみます。そして「りんごをいかに活用するか?」と問われているとしましょう。
この時に、程度の変化とは「齧る(かじる)」と「アップルパイにする」の違いです。なぜなら、どちらも、食べるという枠内で思考されていて「りんご=食べ物」という認識は揺らいでいないからです。すこし言い方を変えると「りんごをどんな味で食べるのか?」「最もおいしい方法を探す」状態ともいえます。りんごを齧るとアップルパイにするというのは、どちらも味という程度で測られており、その意味でどちらも同じレベルの思考だと言えます。
一方で、「りんごを燃料(電源)にする」というのが質的な変化です。当然ですがりんごを食べ物としては眺めていません。だから、りんごの味は全く問題になりません。ふじりんごとジョナゴールドの違いは、味の違いではなく発電量の違いとして認識されます。 ここでは食べる以外のりんごの活用方法が現れています。そして、この段階におけるりんごの程度の変化は(りんごを齧る→アップルパイにする)、「りんごをどれだけ効率よく発電するか」へとシフトします。
そして「りんごをいかに発電させるか?」と考えているとき、発電を促すのはりんごのどんな物質なのか?それはどのりんごだと最も多いのか?などが思考されるはずです。これはりんごを食べ物として眺めていたときには絶対に起こりえない思考です。このような視点の転換が起こると、現れてくる方法や選択の基準が変化します。
ワークショップにおける面白さとは、既存の視点とはどれだけ質的に異なる視点を生み出すことができたのか?ということではないでしょうか。
ワークショップにおいて、程度のレベルでどれだけ変化していても結局ワークショップ以前と変わりはなく、ある種のインプットをワークショップによって行ったということになりかねません。そうではなく、ワークショップにおける変化の量(あるいは距離)を質的なモノ、現在との隔たりとして捉え、そのレベルで変化を起こせたときに「面白いワークショップ」となるのではないでしょうか?
では、どうやってそれを起こすか?
そう、理論的にわかっていても実践レベルでできなければ、なんのためのってことになりますよね。
しかし、ご安心を!
そこは安斎さんのブログできちんと書かれております!!さすが!
安斎さんは、同ブログ記事内で、(1)問題を引き起こしている認識を明確にする、(2)認識に揺さぶりをかけるための方法を探す、(3)ワークショップデザインに落とし込む、の3つの段階に分けて、説明しています。
ぜひ、読んでみてください。
だうに