12th説明会の企画会議に思うこと/対話のハナシ

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12期説明会が2週間後に迫っている。
説明会では私たちディレクターがつくったワークショップが「お手本」として披露される運びとなっていて、現在ミーティングを重ねながら、鋭意作成中だ。

ミーティングで生まれる“対話”

個人的に12期のディレクターたちと行うミーティングは、とても楽しく、“対話”に溢れていると感じている。この場合の“対話”とは「相手の考えにしっかりと耳を傾けて、なぜそう思うのかと問いかけることでその内側にある想いに触れ、それを踏まえた自分の考えを語りお互いの価値観をすり合わせながら、双方が納得できるような新しいアイデアを探る活動」を指す。例えば、

「私はA案がいいと思う」
「なんで?」
「〇〇〇って思うから」
「いや、でも、×××という観点から見ると、B案の方がいいんじゃない」
「あ、言われてみれば、確かに。――じゃあ、C案はどうだろう。
これなら私も納得できるし、×××という観点から見ても、問題ないような気がする」
「すごくいいと思う!そうしよう!」

……といったようなやりとりのことだと(限りなく私見ではあるけれど)思っている。実際、12期のディレクターによる会議ではこういったシーンが多々見られる。決して議論ではない。議論であれば、AかBか多数決を決めて、多くの賛同を得た意見が通る。通らなかった意見は捨てられる。Cという素晴らしい提案が生まれる余地はなかっただろう。

対話って重要だけど、難しい

Cが生まれるためには2点、重要な要素があったと思う。まずひとつ目は、「なぜそう思うの?」と相手の意見を頭ごなしに否定せずに深堀し、その人が抱える想いを聞く姿勢があった点。そしてふたつ目は、そこで聞いた思いを尊重した新しいアイデアを生み出そうとする熱意があった点。そしてこうした対話的なやり取りは良い作品をつくるうえで欠かせないものではないだろうか。

もちろん現実の会議は、上記のたとえ話のようにすんなりといくものではない。自分の意見を否定されれば、相手の反論がどれだけ正しかろうと少なからず悲しいし、情けないし、むっとする。また逆に相手の気分を害することを恐れるあまり、反論することをためらったりすることもある。さらにそういった軋轢や遠慮を乗り越えたとしても、その次の段階である「新しいアイデアを出す」というのは、決して容易ではない。というより、ほとんど苦行だ。出る時は出るかもしれないけれど、出ないときは出ない。

繰り返しになるが、対話を通してみんなでモノづくりをする、というのは楽しいばかりではない。むしろ、つらいことのほうが多いかもしれない。それでも私たちは相手の意見とその想いを聞くし、それらを出来る限り内包したアイデアを出そうと頭をひねる。それはなぜか。

だっていい作品、つくりたいじゃん!

そんなの決まっている。そのほうがより良い作品をつくることができるとわかっているからだ。もう少し言えば、その方が企画に携わっているみんなが高いモチベーションを持って取り組むことができると知っているからだ。

私たちは前期11期のメンバーとして、チームは違ったが、お互いに切磋琢磨しながらワークショップづくりに励んできた。そのなかで、ワークショップについての知識だけでなく、チームとしてともにモノづくりをするというのはどういうことなのかに関しても多くを学んできた。

そして12期のディレクターとなったいま、当時培ったものが存分に生かされていることがとても嬉しい。そしてそれと同時に、まだ見ぬ12期メンバーにとって、少なくとも私たちが11期で得たそれと同じくらい重要な経験が出来る場であってほしいと、ディレクターとしてそういった場を提供したいと、切に思う。