前回から約2週間後の5月13日、FLEDGE13期第2回勉強会が行われました。
今回の勉強会の主旨は、コンセプトの作り方を学ぶこと。ワークショップデザインの核ともいえるコンセプトの生成の仕方について、レクチャーとグループワークの両面からより深く学習していくことを目的としていました。
チーム名・目標・グランドルール発表
まずは第1回勉強会で結成された各チームのチーム名と、チームにおける目標やグランドルールの発表が行われました。
チーム①:edge
「終了後に参加者が帰りたくなくなるようなworkshopを創る!」
チーム②:Tenny’s
チーム③:ミックスグリル
(どことなくファミレス感の強い名前が多いのはなぜ…?笑)
またチームごとのグランドルールでは「ミーティングの時間厳守」、「こまめに共有する」というもののほか、「チェックin/outを毎回する」や「12:00まで!徹夜しない!!」といったルールをあげるチームも。
レクチャー:コンセプトの構造について
続いて安斎さんによるレクチャー・タイム。この時間では、事前に共有された動画(非公開)内で与えられた問題の答え合わせを行うことで、ワークショプにおけるコンセプトの構造について理論的に学習していきました。
与えられた問題は、一例を挙げると、このような形式で出題されました。
「________を創ることで、動物の気持ちや立場を理解する」
この問いに絶対的な正解は存在しない、と安斎さんは言います。考える人の数だけの回答があるのでしょう。現に勉強会でも参加者から「動物に優しい動物園をつくる」や「twitterで対象の動物のなりきりアカウントをつくる」など、様々な回答が出てきました。
それでも「その活動が本当に想定した学習を支援する構造になっているか」という点において、そのコンセプトの良し悪しを評価することはできるそうです。例えば、「動物に優しい動物園をつくる」という活動を設定する場合、「『動物に優しい動物園をつくる』という活動は本当に『動物の気持ちや立場を理解する』ことに繋がるのだろうか?」という点を深く吟味しながら、工夫をこらしたり、より良い新たな活動を考える必要があります。それに活動自体も、ワークショップ参加者が高いパフォーマンスを発揮し、与えられたワークに没入できるように、活動自体も楽しく、非日常的で、真剣に取り組みたくなるようなものでなければいけません。
また、参加者に得てほしい学び(学習目標)を設定する際にも、あまりに規模が大きく、抽象的な学習目標(例えば「優しさを学ぶ」など)では、数時間のワークショップで明確に「学んだ!」と思えるほどの実感を得ることは難しい、とのこと。ワークショップデザイナーがある程度「何を学んでもらうのか」的を絞り、学習の場をデザインしていくことが重要となってくるのだそうです。
このようにコンセプトをひとつ考えるのにも、様々な要素を考慮しながら、多角的な視点を持って構成していかなければいけません。そこがワークショップデザインの難しさであり、同時に面白さなのでしょう。
安斎さんへの質疑応答
そのあとは、安斎さんへの質疑応答の時間。主だったものを抜粋すると、以下の3つ。
Q.非日常的な活動である必要はあるのか?
A.非日常的な活動のほうが楽しい(ので、参加者が乗り気になりやすい)のもそうだが、日常の問題は日常で解決しにくい、というのもある。物事に対していわば”新しいはしご”を架けることで、新たな視点を提供することが、日常の問題を解決するのに有効だったりする。
Q.日常的な問題にアプローチするために、どの程度の距離感の非日常的な活動を設定するのが適切なのか?
A.非日常的すぎるのが問題なのではなく、学習を促進できないとしたら、構造がまちがっている。活動がどれだけ非日常的かを気にするのではなく、構造的に合致しているかどうかを考慮する必要がある。
Q.「何を学んでもらいたいのか?」をワーク前に伝えるかどうか。
A.最初に言うし、告知文にも書く。初心者は演出として隠しがちだけど、でも、言ってしまってワークに影響するならその学習目標はそもそもそのくらい浅く、弱いものだったということ。事前に知っていたとしても、「それでも学びたい」と思わせるような良い問いを設定しなくてはいけない。
グループワーク:コンセプト生成
そうしたレクチャーのあと、実際にグループで健康をテーマとした学習目標(何を学んで欲しいのか)を考案するグループワークの時間となりました。先ほど説明された要点を踏まえつつ、自分たちにとっても興味があり、意義深さを感じられる学習目標を考えるためには、「そもそも”健康”について何を学びたいか」をチーム内で話し合うところから始めなくてはいけません。FLEDGEでワークショップづくりを個人ではなくチームで取り組ませているのは、「その問いや活動は自分だけではなく、他の人にとって価値があり、楽しいと思えるものなのか」という点について、チーム内で様々な視点から吟味し、深く考えていくためでもあります。そうしたチーム内での研鑽の積み重ねが、他の人が参加したいと思えるような深い問いを持つワークショップづくりに繋がっていくのです。
40分程度の短い時間でしたが、ひとまずコンセプト案を各チームひとつずつ出してもらうと、「自分の疲労のキャパシティを知る」や「新しい健康診断を考えることで『健康ではない=病気』というわけではないことを学ぶ」、「寿命のない世界における健康について考えることで自分の”健康寿命”について考えを深める」といったものが出ていました。そしてそれらのコンセプトについて再度和泉さんや安斎さんからフィードバック・タイム。ざっくりと要約すると、
・「身近に感じられ、知りたいと思えるような問いではあるが、活動目標を考えるのが難しそう。プランBを用意しておくことが大事」
・「健康診断という着眼点は面白いが、学習目標が浅い。ワークをしなくとも口頭で説明すれば充分なレベルのように思える」
・「『死』がなくなった世界という前提はわくわくする。だけど、そこから何が深まるのか、もう少しよく考え、練っていく必要がある」
といった内容でした。
これらのコンセプト案や、それに対するフィードバックをもとに、ひと月後の第3回では「プレ実践」として、13期生同士で一度ワークショップを開いてもらうことになっています。これらのコンセプトをさらに発展させてくるのか、はたまたまったく違うコンセプトのワークショップをつくってくるのか、13期の今後をどうぞお楽しみに!
▼卵型のメッセージ・タイムカプセル。最後の第6回勉強会で開封するのだとか。
今回の問いは「良いコンセプトって?」