第3回勉強会: プレ実践!【13th報告レポート③】

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梅雨の晴れ間となった6月17日、第3回勉強会が行われました。全部で6回行われる勉強会のうち、今回でちょうど半分を迎えたことになります。

今回行われるのは”プレ実践”。プレ実践とは、2ヶ月半後に外部向けに開催される本実践に先駆けた予行演習ともいうべきプログラムのこと。本実践でのワークショップが外部から参加者を募って行われるのに対して、プレ実践では13期生とFLEDGEDと呼ばれるOB・OGの方々のみを対象として行われます。実践の内容も、40分という時間設定の中で、「つくる活動」と呼ばれるメインワークのみ実施してもらうことになっていました。経験者をのぞいた多くのFLEDGE生にとって、自分たちだけで場を開き、ファシリテートをしながらワークショップを運営するのは、このプレ実践がはじめての機会となります。

また今回の勉強はまずはじめに、「前回の学びを十分思い出した状態でスタートしてほしい」という意図のもとディレクターの松崎萌子さんが作成した、第一回・第二回勉強会のリフレクションムービーの上映が行われました。

リフレクションムービー

「救え!のび太くん」 by Tenny’s

まずトップバッターを務めたチームはTenny’sでした。ワークショップタイトルは「救え!のび太くん」。大学生となり、ドラえもんもすでに未来に帰っている……そんな設定のなかで行われた今回のワークショップ。そしてそれらの設定に加えて、のび太くんは大学生らしい以下の3つの悩みを抱えているのだそう。

・就活がうまくいってない!
・趣味がない!
・彼女がいない!

テニーズ実践中 ミックスグリル

テニーズ実践中

そしてメインワークとして、
「参加者にこれらの悩みを解決するようなひみつ道具を考えてほしい」
というお題が与えられました。

メガネ

ど根性2

バキューム1

各作品の発表があったのち、締めとして、ファシリテーターからこのような問いかけが。

“あなたの健康を気にしてくれる人はいますか?”

のび太くんにとって、ドラえもんは自身の悩み(=健康を害するもの)を取り除いてくれる存在でした。そして、そのような立場を擬似的に体験することで、それぞれの健康を支える”健康コミュニティ”について考えもらいたい、という意図が今回のワークショップにはあったそうです。

Tenny’s:講評

まずは参加者だった13期生やOB・OGからのフィードバックから。「活動自体は面白かったが、活動の必然性が全体的に薄く『なんでひみつ道具を考えなきゃいけないのか』という点について説明がないので入り込めない」といった意見や、「のび太個人について考えることがコミュニティについて学ぶことにつながっている、という説明に違和感があった」などの指摘がされていました。

続いて、安斎さん・和泉さんからの講評では、

“「健康コミュニティの大切さを学ぶ」という学習目標には、個人的には少し押し付けがましさを感じる。学ぶべきゴールがファシリテーターによって決められていて、それに向かっていくだけなら、一緒に探求したいという気持ちにならない

 

“2つ課題があって、ひとつは設計上の問題。学習と活動が結びついていない。ひみつ道具というのはよく使われる手法で、盛り上がる要素ではあるんだけど、コミュニティの話に持っていきたかったのならもう少し検討する必要があった。例えば、「ひみつ道具という人工物に頼らずにのび太くんが自力でどうにかするためには何ができるかを考える」とかならあり得た。もうひとつは、プロセス設計ができていないこと。原因の究明をしないことには解決策にいけるわけがないから、そこについてまず解説する必要があります

などのほか、「『知る活動』や『アイスブレイク』といった用語は、デザイナー視点でのみ通じる用語なので、ワークショップ中それらを参加者に向けて使用しないほうがいい」といった指摘がされていました。

「”程良い疲れ”ってどんな疲れ?」 by edge

続くチームedgeの実践は、「”疲れ”ってマイナスなイメージが強いけれど、本当に『疲れること』=よくないことなの?」という問いかけから始まりました。つまり、「1日の終わりのビールが美味しく感じる」や「夜ぐっすり眠れる」など、程良く疲れているからこそ良いこともあり、”程良い疲れ”があるからこそ、人生はより豊かになるのでは、と。

エッジ実践

そして今回はその人生をより豊かにする”程良い疲れ”についてより深く学ぶために、”程良い疲れ”を感じられるシチュエーションを想定して、レゴで表現する、というワークが与えれました。結果として参加者からは「汗が涼しいと感じる時が”程良く疲れている”ときであり、『高2の部活終わりの帰り道』を表現した」作品や、「フェスに言った後に浴びるシャワー」、中には「1日がかりのワークショップをやりきった後の心象」をレゴで表したチームも。

 

 

エッジ発表2

 

エッジレゴ

心象風景

edge:講評

まずはOB・OGからは、「(メインワークだけ、という制限を与えれていたとはいえ)ワークでの気づきを日常に活かせるような、ちょっとした問いかけとか、最後の一手があればとてもよかった」や、「たぶん今回はデザイナー側があまり対象を設定してなかったからこそ、広がりのあるアウトプットになったのだろうと思う」といったコメントが寄せられていました。

それから、安斎さん・和泉さんからはそれぞれ、

“すごく良かった。けれど、結構偶然に頼ってるところが大きいのかなと感じた。だから、今後は、何パターンも何パターンも組み合わせながら、今回の成功を意図的に起こせるように模索していってほしい。”

 

“プレ実践としてはめちゃくちゃ良かったと思います。良い題材を見つけたな、という感じで。ちょっと活動の内容が飛躍しすぎだけど、学習目標が練りこまれていたから、ゆるふわな活動の中で、参加者がそれぞれの方向に活動できた。本実践に向けて、今回のを中心とするとしたら、より深められそうな道筋がいくつもあるように思える。加えて、もっと良くなると思われる設計上の余白は多々あったので、そこを細かく詰められるとよりよくなると思います”

といったフィードバックがされていました。

「ワクワクする未来の病院をデザインする」 byミックスグリル

プレ実践最後のチームはミックスグリル。ミックスグリルのワークショップは、「病は気から、というものの、病院って空間、全然ワクワクしないよね」という問題意識から、「ワクワクする未来の病院をデザインする」という内容のワークショップが生まれたのだそう。

ミックスグリルイントロ

まずは、
・「病院ってどんなイメージ?」
・「ワクワクする場所ってどんな場所?」

という二つの問いに対してブレインストーミングを行い考えを深めた上で、レゴで「ワクワクする未来の病院」をつくるワークへと入っていきました。

ミックスグリル ブレスト

ミックスグリル 発表

ミックスグリル発表1

ミックスグリル:講評

そのあとに行われたフィードバックタイムでは、まずOBらから、「ワクワクは空間以外でも演出できるし、病院=ネガティブというのも少し安直に思える。一つひとつの要素の意図が寝られていないから、コンフリクトが微妙に噛み合っていないように思えて、違和感があった」などの意見が寄せられていました。

また安斎さんからは、

”病院を作りながら病院について考えてもらうという、ひねりのないコンセプトになってしまっている。参加者に訴求力のある問いがあればひねりがなくてもいける場合もあるけど、そういうわけでもなかったので”

との指摘があったのち、「全グループにも言えることだけど」と前置きした上で、学習目標の作り方について、

僕はワークショップでは実践者が一番学習すると思っているんですよ。でも、そうなるためには、学習目標を深く掘り下げていかなくてはいけない。ちょっといい感じのキーワードが出たからと言ってそれに頼りすぎてはいけなくて、それについてじっくり考える必要がある。あと、「ワクワク」と「未来」とか、やけに飛ばさなくとも、日常的なものを異なる視点から見つめ直すことで、非日常的なワークをつくることはできます

というお話が、以前安斎さん自身がデザインした病院をつくるワークショップの紹介とともに、されました。

それから小1時間ほどの質疑応答の時間(かなり白熱したその様子はこちらのコラムから)を経て、今回の第3回勉強会はクローズとなりました。次の第4回からは、今回のプレ実践を踏まえた上で再度コンセプトづくりからワークショップを学んでいく予定です。ご期待ください。

和泉さん
安斎さん