7月15日、第4回勉強会が行われました。前回のプレ実践までの経験を踏まえて、今回からはいよいよ”本実践で実施するワークショップ”を作成していきます。13期メンバーには勉強会前に「コンセプト案を3つ考えてくる」という課題が与えられていました。そして当日の勉強会では、「それらの案に対してみんなでフィードバックを加えていくことで、本実践でどんなワークショップを開催するか検討していく」という趣旨のもと進められました。
なお今回の勉強会では安斎さんが別のシンポジウムに登壇されるため欠席。そこでOB・OGの方々にご参加をお願いし、様々な視点からフィードバックしていただきました。
○あみだ de コンセプト
まずは毎回恒例のディレクター考案によるアイスブレイクから。今回のアイスブレイクのタイトルはずばり、「あみだ de コンセプト」。ランダムに構成された即席チームのもと、「レゴを使ってみんなでつくってみたいもの」を各チームでひとつ決定します。そしてそこで出てきた「つくってみたいもの」と、ディレクターが事前に用意した「メディア」や「働く」といった単語とをあみだくじを使い組み合わせたのち、「その2つの単語をそれぞれ『活動目標』と『学習目標』と据えて、コンセプトを作ってください」という指示が出されました。
無作為に組み合わされただけ単語からコンセプトを作るというなかなか難易度の高いワークでしたが、「できなくても構わない」と進行のらぶちゃんは言います。「だけど、その場合なぜできないのか、何が難しいのかをしっかり考えてほしい」と。
実際、参加者からは「難しかった」という声が多く聞かれていました。それでもコンセプト生成において、理詰めで考えることももちろん大事ではあるけれど、たまにはまったく違った要素を外から持ち込んでみることでひねりの効いた、面白いコンセプトが生まれる可能性もあるのかもしれない、と考えさせられるミニワークでした。
○ミックスグリル
アイスブレイクのあと、まずはミックスグリルの発表から本編の大フィードバック会が始まりました。ミックスグリルが今回考えてきたコンセプト案は「健康風刺画を創ることで、自分の健康感を探る」や、「粘土で『現実的理想』健康像を創ることで、自分の健康観を探る」の3つ。全体的に他者の健康観と照らし合わせながら、自分の健康に対する考え方を深めていく、というようなアイデアが多く出されていました。
対する他チームやディレクター、OBからのフィードバックタイムでは、
・「自分の健康観を探ることにどんな意味があるのか、という点がいまいち伝わってこない」
・「まだ学習目標がまだ漠然としているので、もっとポイントを絞ったほうがいい」
といった助言がされていました。また、「コンセプト案を3つ考えてくる」という課題の進め方に関して、ミックスグリルの場合、メンバーの日程がなかなか合わないこともあり分業に近いかたちになっていたそう。その点について、「可能なかぎり全員で様々な視点を検討し進めて行く方が結果的にひねりの効いた面白いコンセプトが生まれやすいのではないか」といった意見が交わされていました。
○テニーズ
続いてテニーズの発表。テニーズが考えてきたコンセプト案は「1日を48時間、12時間に設定し、その生活を考えることで『暇』な時間について考える」や「世の中の”実は不健康(不幸せ)な人”を発見することで、自分にとって大切な健康の要素について学ぶ」、またそれらとは趣向を変えて、「人為的に嫉妬してしまうような環境を作ることで、嫉妬と憧れの違いを浮き彫りにし、自分の理想の姿を考察する」といったもの。「暇」や「嫉妬」など、日常にありふれた身近な視点から「健康」というテーマについて考えていきたい、という思いが強く感じられました。
それに対するディレクターからのフィードバックとしては、
・「考えさせられるテーマではあるけど、少し暗い。参加者が楽しく取り組めるような、ひねりの効いた活動が用意できたらいい」
・「活動を通して参加者にどうなって欲しいのかという部分がまだ詰めきれていないように感じられるので、そこを深掘りしていくのが大切だと思う」
など、参加者の視点を意識した講評が主に行われていました。デザイン上自分たちが作りたいものと参加者が参加したいと思える内容を両立させる必要があり、そこに難しさを感じている様子でした。
○Edge
最後にEdgeの発表。提出されたコンセプト案は、プレ実践で行った「”程良い疲れ”の状況をレゴで表すことで、”疲れ”について深く考察する」というもののほか、「粘土を使った創作活動から心の状態について考えを深める」などのものが挙げられていました。2つ目の粘土を使った案は、「粘土」というツールを使うことをまず決めて、そこから手を動かしながらどんなワークショップができるのか考えていったのだそう。様々なアプローチからワークショップを作っていこうという意欲的な姿勢が感じられました。
対してのフィードバックでは、
・「初対面の人同士でいきなり「粘土で心の状態を表現して」と言われても心理的な抵抗が大きいので、その抵抗をアイスブレイクや前段階のグループワークでいかに減らしていくかが重要になると思う」
・「粘土という発想はいいけど、全体的にテーマが重いので、もっと楽しめるような工夫や、気を軽くさせられるような『型』を見つけて取り入れていくことが必要と思う」
といったものが出されていました。”健康”というテーマについてワークショップを通じて深く考察しようとすると、どうしても暗いイメージが先行してしてしまうようです。そのなかでそれらの暗さを雰囲気づくりや活動の楽しさでカバーしながら魅力的なワークショップをつくることが重要になってくるのでしょう。
今回のフィードバック会では、プログラムデザインに集中するあまりないがしろにされそうな、「参加者がその体験のなかでどう感じるのか?」という視点について、OBやOGが積極的に意見を出している姿が印象的でした。その中で参加者にとって大きく価値があり、かつ楽しく取り組めるようなプログラムをつくるためには何が必要なのかを考える良い機会になったのではないかと思います。
コンセプト立てから再スタートを切って、その初回となる第4回勉強会でしたが、現時点ではまだまだコンセプトを固めきれず、苦労している様子…。とはいえ勉強会も、本実践後の最終報告会である第6回を除けば残り1回しかありません。本実践前最後となる第5回勉強会では、本実践として開催するワークショップの概要をプレゼンしてもらい、”FLEDGEとして外部向けに実践できるか”を安斎さんに判断してもらう最終チェックが行われます。無事に本実践を迎えるためには、急ピッチでアイデアを収束させて、1つのワークショップとして形にしていく必要があるでしょう。どんな案が出てくるのでしょうか。13期もいよいよ佳境を迎えています。