8/11、第5回勉強会が行われました。FLEDGEでは半年間の学習の集大成として、第五回勉強会と最後の勉強会である第六回勉強会の間に、”本実践”と呼ばれるワークショップを外部向けに行うこととなっています。第六回勉強会は本実践の開催報告会ということになるため、今回の第5回勉強会が本実践前に安斎さんからフィードバックをもらう最後の機会となります。場所もいつもの福武ホールのスタジオではなく、今年新設された情報学環オープンスタジオを特別に使わせていただき、メンバーもDもどこか浮き足立った様子。
今回の勉強会では、本実践に行う予定のワークショップの全体的な構成を各チームごとに発表してもらい、その後、これまでの講義よりもより実践的なレクチャーとして、「ファシリテーション講座」という特別講座が開かれました。
■edge
まずはedgeの発表から。edgeが出したのは、「出来事があり、最終的に感情として出力されるまでの心の動きを粘土で可視化することによって、心の働きについて学ぶ」といった内容のワークショップ。個人的に面白かったのは、「メンバーが真面目すぎて『遊び』や『ゆとり』のある活動を考えるのが苦手」という問題点に対して、「とりあえず色々やってみるなかで粘土をいじってみたら楽しかったから、粘土を取り入れることをまず決めて、そこからプログラムを組み立てていった」といった方法で乗り越えていたこと。
しかしその後でのフィードバックでも指摘されていたように、「心の何を明らかにしたいのかが定義が定まっていない」という問題点から、学びたい対象が非常に抽象的で、なんとなくで終わってしまいそうな点に関して改善の必要性が感じられました。安斎さんのフィードバックによると、「心という対象の定義について、はっきりさせたほうがいい場合と、はっきりさせない方がいい場合がある」とのこと。そしてそれらは、ファシリテーターがどのような視座や気づきを参加者に与えたいかによって変わってくるのでしょう。
■ミックスグリル
続いてミックスグリル。コンセプトは「よりよく死ぬためのサービス(Death Startup)を創ることで、自分が生きる上で大切にしたいことを考える」というもの。具体的な活動としては、まずは個人の死にまつわる問題点を発見し、それを解決するようなサービスを考案する、といった内容でした。そしてそれらの活動を通して「よく死ぬための方法」を考えることが、逆説的に「自分がよく生きるためにはどうしたらいいのか?」という点につながっていくようにしたい、と説明してくれました。
フィードバックの時間では「コンセプトが明快かつキャッチーで面白い」と概ね高評価。ただしDeath Startupを創るという作る活動に関しては、設定された学習目標を支援するできるような制約をちゃんと考える必要がある、という指摘がされていました。また、安斎さんからは「テーマ的には内省を促すようなものでありながら、活動は商品開発的」という点に着目しながら、「イノベーション・ワークショップは自分ごとになりにくく、一方で自己に関することをメインに扱うワークショップでは突飛なアイデアはでにくいというジレンマがある」と解説したのち、「活動を何度もシミュレートしながら、本当に自分たちの死の懸念が発掘されるような設計にする必要がある」と話してくださいました。あるいは、自分のことを考えるのか、社会的なサービスを考えるのか、どちらかに振り切ってしまっても良い、と。
■Tenny’s
最後にTenny’sの発表。Tenny’sが提示したのは、自分たちのチームがうまく活動できていないところから逆に発想を得て、「良いチームをつくるためにはどんな要素が必要なのか」という点に関して考察する、といった内容のワークショップ。具体的には、まずは「当日ワークショップに来た初対面の参加者同士が、良い関係性の構築するとしたら」という課題が与えられ、それらを空間・活動という2つの視点から解決するワークが与えられます。そしてそれらの活動を通して、今後の学校や職場でどう活かすかを最後に考えるといった流れを想定しているのだそう。
それに対するフィードバックとしては、「良いチームを作ってみて、良い関係性について考える、というのはストレートでわかりやすい反面、普段とは違う視点で捉えたり、突飛なアイデアがでにくい。例えばあえて悪いチームをつくることで関係性について考えるとか、矛盾した切り口でいったほうが創発的な思考や発話につながりやすいのではと思う」といったものから、「空間と活動をそれぞれ単体で考えるのは難しい。それらが有機的に結びついていることを考える意味ではポテンシャルのあるアイデアだといえるけれど、今のままだとバラバラのまま終わってしまうように感じられるので、どこかに焦点を絞って、シンプルに落ち着けるのがいいと思う」などの意見が寄せられていました。
■本番直前!ファシリテーション講座!
各チームごとにフィードバックが行われたあと、和泉さん・安斎さんによるファシリテーション実践講座が行われました。そこで話されたファシリテーションのポイントから主なものを抜粋すると以下のようなものが話されていました。
○やってほしいことを一纏めに指示しすぎない。
やってほしいことをひとまとめにぶわっと指示してしまうと、参加者が動いてほしいように動いてくれないことが多いのだそう。例えば、「みなさん椅子から立ち上がって、移動しましょう!」と言うよりも、「みなさん一回立ってください」と言ったあと、全員が立ち上がったことを確認して、「それでは、移動しましょう」と次の指示を出すことで、わかりやすく参加者に情報伝達を出すことができ、スムーズに進行することができるようです。
○目の前の参加者の発話に対して、素朴だけど誠実な交流を意識する。
初心者でよくあるのは、参加者のアウトプットを共有してもらうシーンなどで、「ナントカなんですね、そうですか。次の人は、あぁそう思ったんですか、わかりました。……で、次のワークなんですけど……」といったように、聞きっぱなしのまま流してしまうことなのだとか。そうした見せかけだけのインタラクションに終始してしまうのではなく、ちゃんと参加者の発言に対して反応を示すことが大事なのだそう。素朴に参加者のことをよく見てその場で出てきた発話に対して、気になったことを聞き、思ったことを話しながら交流をしていく。それがファシリテーターとして適切な振る舞い方であり、司会進行に徹しちゃうあまり参加者のことを見ていないのは全くインタラクションではない、と安斎さんは言います。
この日のFBや講座での学びを踏まえて、これから13期生はそれぞれ本実践を行います。一体どんな実践になるのでしょうか。今後に期待しましょう!