第6回勉強会:本実践開催報告会&卒業証書授与式【13th報告レポート⑥】

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6拍子

2017年9月13日、4月から約半年間をかけて行われてきた13期の最後の勉強会となる第6回勉強会が行われました。第6回勉強会では、前回から今日までの間に各チームが”本実践”として外部向けに開催したワークショップの開催報告会を主としながら、他にも様々なコンテンツが用意されていました。

■開催報告会①:ミックスグリル「Death Startup Workshop」

まずはミックスグリルの開催報告会から。タイトルは”Death Startup Workshop”。「Death Startup(“良い死”を迎えるためのサービス)を対話的な活動を通して考案しながら、『自分にとっての死とは何か?』や、『そのために今の生をどうデザインするか』という視点から人生について深く考え、学ぶんでいく」というコンセプトのワークショプでした。

ミックスグリル プレゼン
イベント当日の様子として、もともと死について深い関心や問題意識を持った参加者がFBでの投稿を通じて多く集まったこと、またその結果として非常に深い対話の場が形成されていたことが印象的だったそうです。一方で改善点として、「知る活動からつくる活動までの間に飛躍があったこと」や、「作品を発表するやり方やフォーマットに工夫の余地があったこと」などを挙げていました。

それらの発表を受けて、他の13期生やディレクターからの質疑応答へ。

Q.具体的なアウトプットとしてどんなものがあったか?
A.「遺書をみんなで書いてみる」など。アウトプットそのものよりも、その過程で学びを深めることを重視したので、発表では省略した。
Q.元々死について深い関心を持っていた人は、ワークショップを通じてなにか変化が起こったか?
A.こうしたテーマについて人と面と向かって話し合う機会はなく、深く考えていた人も、発信していることで良い整理ができるような場になっていたと思う。

といったやりとりが交わされていました。

ミックスグリル 質疑

またそのあと安斎さん・和泉さんからのフィードバックでは、

○タイトルを聞いた時、アイデア系のワークショップのような印象を受ける。だけど実際は個人の深い思いを聞く対話的な要素が強い。例えばアイデア創発の場だと思って軽い気持ちで参加した参加者が、ガチな思いを持つ人と相対して、「これ自分も自己開示しなくちゃいけないんじゃないか…」とプレッシャーを感じたかもしれない。そう考えると、対話かワークショップかどちらかに振り切っても良かったように思う。

Facebookを通して、見知らぬ社会人が多く参加したというのは、広報面では大成功している。そのうえで、満足度も高い。テーマに関心の強い人が多く来ていたなら対話型のワークショップにしてもよかった。ただ、そこから相対的に考えて、Death Startupをつくる必然性はあったかな、という点は考えどころ。

○もしワークショップとしてDeath Startupを生かすとしたら、メインアクティビティである作る活動に感情のピークが来るような設計になっていないことは問題。参加して、作品を作って、結果として参加者がこの場にいた人たちが「この場にいた人たちと一緒だったからこの作品が生まれたんだ」とか「良いものが作れたな」という実感を持てることはとても重要。作品の見た目や演出的な見せ方にこだわってもらう必要があるし、ファシリテーターとして、みんなに刺さるようなスタートアップ・サービスを作ってもらうために参加者を鼓舞しないといけない

といった点が指摘されていました。

■開催報告会②:Tenny’s「良いチームってなんだろう〜新・桃太郎ワークショップ〜」

続いてTenny’sの発表。「童話・桃太郎におけるメンバーの動機付けの部分を補完することで、良いチームの要素について考察する」というコンセプトのもと行われたTenny’sの本実践。

61テニーズ

具体的な活動としては、まずは一人ひとりひたすらに付箋紙に「今まで所属して来たチーム」についてや、「自分のやる気スイッチはどこ(なに)か?などのことを書き出すワークをやったのち、それを桃太郎のチーム形成の過程に組み込むとどうなりますか?という問いかけのもと、新たな桃太郎の物語を作成する、というものでした。

そういった発表を受けて、メンバーやディレクターからの質疑応答では、

Q.どんなアウトプットが出たのか?
A.「共通目標を持ちそれを叫ぶ」「何もしない時間を作らない」「適切な報酬を前払いでももらう」「保険を用意する」などのグランドルールを設定する、というような意見が多かった。
Q.チームを組むといっても長期的な場合と短期的な場合があると思うが、短期的なチームにこだわったのはなぜか?
A.長期的になればなるほど、様々な要因がチームが壊れたり戻ったりする。それらは扱えないと感じた。それだったらプロジェクト的なところに目を向けたいと思った。元々このFLEDGEという短期的な活動におけるTenny’sというチームがうまく言ってないなかで、桃太郎というメタファーが出てきたこともあり、今回は短期的なチームに焦点を当てた。

といった内容の意見交換がされていました。

テニーズ 質疑

続いて行われた安斎さん・和泉さんからのフィードバックでは、

イントロがすごく良い。このテーマについて、自分たちがなぜ考えたいかという思いを伝えることはとても大事。
○参加者が出したアウトプットを軽視しないように。アウトプットが出て来たプロセスと作品の両方からプログラムを考察していく必要がある。ワークショップデザインの良し悪しはいろんな側面から語れるけど、参加者から出てくる作品が良くなっていくためには何をしたらいいか、と考える視点もとても重要。
○「健康」というテーマとちょっと乖離しすぎている印象を受ける。デザイナーとして、と考えると、与えられたテーマに即したものを提供することが大事になってくるので、そこは気をつける必要があるかな、と思う。
○冒頭でいきなり「桃太郎の話を覚えていますか?」と訊いているが、問いには参加者に何かに目を向けさせ、その対象について探索させるためのトリガーの役割がある。ワークショップ前半では、参加者の内側について問うて、お互いを知りながら、自分たちの知見を掘り起こして、徐々に活かしていくような設計にする必要がある。今回のワークショップでは、いきなり自分ごとと離れたことを聞かれている。極端に言うと、ずっと自分と関係ない話をさせられているといった印象を参加者が受けるおそれがある。

といったことが話されていました。

■開催報告会③:Edge「ココロマネジメントワークショップ〜あなたのココロはどんな形?〜」

最後に発表したのはチームEdge。コンセプトは「今の自分のココロと理想のココロの状態をそれぞれ粘土で作成してみることで、自分の心をマネジメントする方法を考える」というもの。

実際に開催してみたところ、「思ったよりも参加者同士での交流が盛り上がった」「良い雰囲気で行うことができた」という感想を持った一方で、「『心の定義づけをするわけではない』ということが説明不足だったため、参加者に迷いが生まれていた」という反省点も挙げられていました。

6edge

メンバーやディレクターとの質疑応答では、

Q.ファシリテーターとして工夫した部分はあったか?
A.自分の心を丹念探ったのち、それに忠実に従いながら粘土を作る人もいれば、まず思うがままにつくってみてその後にできたものに対して意味づけをする人など、いろんな参加者がいた。そうした状況下でのファシリテーションとして、前者の人が困っていそうだったら、どんな状態で在りたいのかなど、問いかけながら作ってもらった。後者の人は、あまり問いかけをしなくても、まず手を動かしながらやっていたので、そこはお任せして、あまり介入はしなかった。
Q.基本的に個人ワークをやって、最後に共有する時間があるものの、4人で作品をつくるようなグループワークを設けなかったのはなぜか?
A1.みんなで一つの答えを出そう、というようなことはそもそも目的にしていなかった。ほかの人の意見はあくまで参考程度にとどめて、個人の内省をメインとしたワークを意識していた。
A2.相互作用の部分は、詰め切れなかったというのは確かにある。

といった内容がやり取りされていました。

edge 質疑

また、安斎さん・和泉さんからは、

○最後の最後まで案が決まらなかった中で、最終的に安定感のあるプログラムに着地して底力を感じた。実践もしっかり回していたようだし、参加者のアウトプットも、SNSに上げたくなるようなものができている。作ることで学ぶという、ワークショップらしいプログラムになっていたのではないか。
○深い気づきを得るために、もうひとつ深堀りが足りなかったように思う。例えば「心とはなにか?」という考察が重要なのだとしたら、前半はいっそみんなでダイアローグする時間にする。そして個々人での心についての定義づけを行ってもらった上で進めていけられれば良かったのではないか。
○自分の理想状態を自分で作るんじゃなくて、お互いについて知った上で他人に作らせてもよかったかもしれない。自分ひとりでやってしまうと、理想状態も、そのための具体的な行動も、全部自分の思考の枠の中でしか出てこない。他人の思考からみたら別の突破の仕方がわかったり、違った発見を見つけられたかもしれない。

といったフィードバックがされていました。

■リフレクション:振り返りとリフレクションムービー

最後に半年間かけて行われた13期全体の活動の振り返りとして、和泉さんからによる振り返りワークショップと、リフレクションムービーの上映が行われました。

振り返り 和泉さん

今回和泉さんから投げかけられた問いは、こちらの3つ。

Q1、FLEDGEでの半年間を一言で表すなら?
Q2、私はFLEDGEで何を得たのか?
Q3、私は、これからどうする?

振り返り 筆記

一人ひとりしっかり内省する時間をとったのち、チーム内でシェア。そして最後には全員が円座になって一人ひとり発表してもらうことで、自分たちのこれからについて、考えを深めてもらいました。

振り返り テニーズ

振り返り エッジ

62対話

63対話

続いて行われたリフレクションムービーの上映。
ディレクターである松崎萌子さんによる作品。半年間ものプロジェクトのリフレクションムービーをつくるのは初めてということで、再生するとき指が震えたそうです。

 

■クロージング:卒業証書授与

最後に、FLEGDEを卒業した証として卒業証書の授与が行われました。安斎プロディーサーと和泉チーフディレクターの直筆のサインが書かれた卒業証書が一人ひとりに手渡されていきます。ちなみに、約8年続いたFLEDGEで、このように卒業生に記念品が送られるのは初の試みとなります。

卒業証書授与1

卒業証書

卒業証書

おまけ:チームDからのメッセージ

to Tenny’s   from らぶちゃん

Tenny’sはこの半年間の間に、それぞれのモチベーションの違いや、チーム内での良いコミュニケーションの取り方に苦労し、さらには2人脱退してしまったりといろんなことがあったチームでしたね。もしかしたら、ワークショップデザインよりも人間関係で学んだことが多いかもしれません。
しかし、最初はそれでも良いと思っていて、Tenny’sの「どうしたらよかったんだろう」という問いからワークショップを作り、さらに参加者にいろんなモヤモヤや感想を持たせられたことは凄いと思います。自分の体験をもとにワークショップを作るという経験から、また新しいワークショップデザインに挑戦してほしいなと思います!
テニーズ

 

to ミックスグリル   from もえこ

「健康目標」をたててミーティング毎に進捗を共有するというグランドルールをつくるなど、超☆健康なチームでした!ミーティングでは重く・難しいテーマを扱うことが多く、度々行き詰まる様子も。それでも考えることを諦めず、ギリギリまでワークショップを設計していました。結果、本実践の「Death StartUp Workshop」は、多様な参加者・難しいテーマにも関わらずとても盛り上がり、ワークショップ後にも参加者と交流があるなど最高の実践だったと思います。
最高の実践だったからこそ、ミックスグリルでの経験で終わらせず、それぞれの場で生かしてほしいです!

ミックスグリルチーム

 

to edge from おかぴ

edgeは名前の由来通り、本当にエッジの効いたチームだったと思います。
メンバーの個性はもちろん、チームとしての活動もエッジの効いた? 笑 ものでした。
最初の頃はびっくりするくらいスムーズに作業が進んでいたかと思えば、本実践前には毎日のように話し合いをするなど、チームとしての変化があって、Dとして関わっていてとても楽しかったし、自分もFLEDGE生に戻ったかのような気分にさせてくれました。
いつかの勉強会で、和泉さんから「edgeのような一人ひとりがよくできるチームはFLEDGEが終わった後、あまり会わなくなってしまう」との話がありました。みんながそれぞれの道を歩んで行くことはもちろんですが、edgeも何らかの形で続けていけたらな〜と思っています。いや続けましょう! 笑
エッジ チーム

 

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