ワークショップというツールを学んで

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ワークショップとはなんなのか

ワークショップとは、結局なんなのだろうか。
半年前の私は、今の私ならその問いに明確な回答を用意できるようになっていると思っていたようだが、残念ながら半年経っても未だよくわかっていない。

全6回の勉強会の中でヒントになるようなことが全くなかったわけではもちろんない。ただそのヒントをそれぞれ自分の中で消化して腹落ちするまでがうまくできなかった。腹落ちすらうまくできなかったのだから、いろいろなヒントをつなぎ合わせるなんてことはもっとできていなかったと思う。
毎回の勉強会で得たものを咀嚼するだけで正直お腹いっぱいになれるくらいだった。

これを書いているのはFLEDGEが終わってまだ一ヶ月も経っていないから、後々見えてくることがあるんだろうという期待は少なからずある。ただ見えてこなかったとしても、無駄な半年を過ごしたとは思わないから、今後の受講生にはぜひあまり期待しないで受講してもらいたい。もちろん悪い意味ではなくて。

ワークショップは人間関係のデザインだと思うよ

そう言われたのは、FLEDGE13期がスタートを切った約2ヶ月後、プレ実践(FLEDGE内で行う本番のワークショップの練習)を終えた頃だった。

その時の私はいわゆるスランプ的な状態にいた。
基本的に自己肯定感が乏しく自らに関する様々なことに自信がないタイプだが、それを抜きにしてもこの時の私は自分自身の経験やスキルに対する不信感にあふれていた。もちろんFLEDGEでの活動も例に漏れずだ。ただ、悩んでいたのはワークショッププログラムを考えることについてというよりは、同じチームのメンバーに対してだった。

おそらくはFLEDGEとしてそういう決まりがあるわけではないが、私がいたチームはなんとなくリーダーや係りのような役割を振ることなく、気づいた人やできる人がやる、というように全員同率な立場にいてフラットに接し合っていた。経験値や知識量に差はあれど、同じ受講生として優劣をつけたくないという空気が流れていたように感じるし、それもそうだと私もその空気に溶け込もうとしていた。

しかし話し合いは苦戦した。

メンターもディレクションする人もいない中で全員が同等に意見を出し合い意思決定をしていくノウハウを持ち合わせていなかったのだ。

今までは誰かの下につくか自分がディレクションをするかの経験ばかりで、どうやってチームに貢献するかや、どうすればチームのメンバーが力を発揮しやすいかを考えてきただけに、全員が平等という関係に耐性がなかった。

我田引水のようかもしれないが、チームの中でワークショップについての経験値も知識も自分が一番あったし、複数人で意見を出し合いながら何かを決めていくようなときに何を大切にして進めるべきなのかもわかっていた。それに加えて、ツールの使い方やティップス、ある程度のデザインスキルなどの細々した知識も持ち合わせていたが、問題はそれをどうやってチームの話し合いの中に持ち込むかだった。

自分の知識やスキルがどこまで求められているのかや、それと組み合わせるための他のメンバーのバックグラウンドを共有する時間を作れず、一番大事なことを置き去りにしたまま事が運ばれていることへ不安が募っていた。

そんな中でのことだった。
ワークショップは人間関係のデザインだから、まずは身近なチームのメンバーの関係性をデザインすることから始めれば、きっとプログラム設計にもつながるんじゃないかと。
正直そう言われた時はその意味するところがよくわかっていなかった。そもそもメンバー間の関係性をデザインできなかったから悩んでいるのであって、その突破口は結局見つからないままだったし、だからこそ悩みの元は大きくなって悪循環そのものだった。

その言葉をきちんと飲み込めたのは、無事本番のワークショップも終えてからFLEDGEでの半年間を振り返ったときだった。

FLEDGEというコミュニティで何を学びとるのか

FLEDGEを受講して、半年間でワークショップを実際に企画しながら学んだというよりは、半年間かけてワークショップをやってきた感覚だ。

ワークショップは人間関係のデザインというのは、確かにそうだったのかもしれない。もちろん他にもあらゆる考えがあるだろうし、それらすべてが答えとして納得できるかというとそういうわけではない。ただワークショップのプログラムを設計するチームの関係性は、そのチームが設計したワークショップに反映されるんじゃないだろうか。

まだうまく言語化できないが、ワークショップを作るためにはまず一緒にワークショップを作っていくチーム内の人間関係をデザインするというフェーズがどこかのタイミングである(べきだと思っている)。そしてその過程そのものがワークショップとして成立しているのではないだろうか。

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それぞれの輪が永遠と続いていくようなイメージだ。
そしてこの考えが今の私が限界だ。この考えまではたどり着けたからといって、じゃあ結局「ワークショップとはなんなんだ?」という問いに対する答えが人間関係のデザインなのかと言われると、まだ物足りなさを感じる。

FLEDGEでの半年間で見つかると思っていた答えは未だに見つかっていない。更に言えば、ワークショッププログラムの設計を学びたいと思って受講したのに、プログラムの設計について学べたという感覚も正直ない。

ただ、きっと単にプログラムの設計を学びたかったのなら本を読むなり、家で一人でできたはずなのだ。でもそうではなく、誰かと一緒にワークショップを作ることで学ぶ環境を選択したということは、そのやりとりの過程から何かを学びとろうと意識していたのかもしれない。そうだとしたらプログラムを設計することを学ぶことよりもさらに価値のあることを学べたのではないだろうか。

 


筆者プロフィール
ねまみさこ
FLEDGE13期生 edgeチーム所属
東海大学4年

寝ることと食べることと猫が好き。
最近思うことは「石になりたい」。

https://www.facebook.com/misaco.nema